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少年の頃に描いた絵 [ありふれた日々]


小学校4年に秋の遠足と合わせて写生会があった。
広島県福山市にある国宝「明王院」の五重塔。

当時、僕はちょうど転校して間もない頃だった。
誰から期待されるわけもなく、ただ目の前にある建物をどう画用紙へ収めればいいのか、周りの人がスラスラと下書きを始める中、何度も頂上の部分を書いては消すことを繰り返していた。
結局、その日に描き終えることはできず、家に持ち帰って根気の続く限り無心で描いた。
この絵は、学年で「特選」に選ばれた。

しかし、市のコンクールへ出品することになったのは、同じクラスの女子が描いた作品だった。
今でもうろ覚えだが、僕よりもこじんまりとして全体構図がしっかりとしていたことを記憶している。

20数年経って、あらためて眺めてみると、あちこち「手抜き」した箇所も見えるし、当時の「ごまかした」部分も思い出されてきた。
そういえば、赤色の絵の具が切れてしまい、本当は朱色で塗りたかったのが2段目以下は茶色になってしまっている。

これ以降「五重塔」を超える作品を描くことはできなかった。

周囲の目を意識するばかりに、「上手に書かなければ」という思いと、負けた悔しさから「全体構図」を考えるようになり、描きづらくなっていった。

今、僕の思考は「ゴールイメージ」を考え、それを実現するために、どうしたらいいのか一生懸命考えて、すぐに単独で実行してしまう。

こんな僕では、「五重塔」のような出来事は二度と起こらないかも知れない。

p.s.
この日、僕は絵を描いていた近くに生えていたちょっと見かけない草のようなフサフサした植物を抜いて持ち帰った。
親が鉢へ植えたら元気に育ち、プランターがいっぱいになるまでになった。
花が咲くことはなかったが、暑さ寒さに耐えて枯れることはなかった。
その数年後、引越しをする際にプランターごと持ってきた。
そして、再度引越しをした現在の横浜にある実家の玄関手前に、今も元気に生きているんだよ、持ち帰って27年も経過しているのに。
こんなことになることをイメージできるはずもない。


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Meg

hitoさん、こんばんは!
ありふれた日々の第一弾、発見^^

のびやかで、そして、小田さんの水彩画をも思わせる
とても爽やかな色彩ですね!私はこの絵、すごく好きです。

>僕の思考は「ゴールイメージ」を考え、それを実現するために、どうしたらいいのか一生懸命考えて、すぐに単独で実行してしまう。

話が大きく飛躍するんですけれど、今日私は美容院に行ってきました。
美容院に行くたびに思うんですが、
いつもイメージを伝えても、「少しずつ」自分が思い描くイメージとは
ずれた髪型が出来上がるんですね・・。
私にとっては誤算なんだけれど、最近は自分が思い描くところから
少しずれた部分を「エッセンス」として楽しもうと思えるようになりました。

段々、不思議と顔が髪型に馴染んでくるし、
以前とは違うスタイリングを、似合うように工夫すると思いがけず
新鮮に見えてきたり・・・(どうしようもない時がありますけれど:苦笑)。

そんな風に予定調和的じゃないことも、まぁ起こっちゃうんだわと思いつつ
今のようにゴールに向かって真摯に努力されるのは
ほんとうに素晴らしいことではないでしょうか。
その時々に吹く風を感じにながら。

hitoさんのお歳が分かりました。
ちょっとお兄さんですね^^
by Meg (2005-11-23 21:50) 

hito560x

Megさん、こんばんは。
えっと、ちょっと具体的に書き過ぎて歳までわかっちゃいましたか(苦笑)。
もう少し歳相応な見かけと言動に成長したいと日々思っているんですけど・・・。

何故かこの小学校4年の絵だけが残ってて。親も「これは奇跡だ」ぐらいに感じてたのかも知れません。
今日久しぶりに額縁から出してみたら、結構当時のままの色彩が保たれていて、水彩画だけど、うっすらと筆のタッチも見えたりして、当時の描いていた時の光景が少しずつ思い出されてきたんですよ。

そうかぁ、髪型ね。
とてもいい具体例ですね、さすがMegさんです。
髪型は前回をベースに今回はこんな風に・・・といってカットが始まったはずなのに・・・全然前回がベースになっていないことが多くて。
でも本人は失敗だなぁと思っていても、周囲の反応がよかったりすることもあったりして、自分の描いたイメージも周囲によって変化させられるということもありますね。

そんなことを楽しめるようなゆとりを持てるようになりたいと思う日々です。
by hito560x (2005-11-23 22:54) 

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