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ちょっと、待て・・・ [ありふれた日々]

仕事で取引先から「至急」の連絡が入り、営業車で急行することになった。

この営業先は僕にとって苦手な場所だ。
言いかえると、「良好な人間関係を築けない相手」だが、取引である以上向かわざるを得ない。

「至急」のため、普段は使わない高速道路へ乗った。
ところが、すぐに事故渋滞の表示とともに、渋滞最後尾に着いてしまった。

「(高速を)降りようか」
「降りても信号だらけで遅い」
「渋滞表示は1キロだけだ、このまま待とう」
「事故は起きたばかりで渋滞は長くなる可能性もある」・・・

僕の選択は・・・「このまま待とう」だった。
普段なら恐らく「即、高速降りて一般道」を選択しただろう。

だが、賭けてみた。

結果、高速の降り口を通過してしばらく渋滞は続いたが、表示どおり1キロ弱の渋滞だけで解消された。

しかし、当初の「至急」に対してロスタイムを被ったことには変わりない。

高速道路を降りた後、抜け道を通り、大きな道へ出て、思いのほか空いていた道路をアクセルペダルを踏み込んだ。

(めずらしい!こんな大きな道路で前後に車が見えない。)

いつもよりもスピードがプラス10キロ以上出ていた。
制限速度からはプラス30キロちょっとだ。

僕は先を急ぐ気持ちと同時に警戒をしていた。

緩い登り坂をアクセルペダルを踏み込んだ。
信号も青だ。
バックミラーに目をやると、後続車は遥か彼方のまま。
前方の車へもまだ距離がある。
道は平坦になり、そして下り始めた。
アクセルを踏むこまなくてもスピードは上がりやすい。

そこで一瞬ためらった。

(ちょっと、待て・・・)

ほんの数秒前に見たバックミラーを再びチラッと見た。

すると・・・雲一つない晴天に照らされて眩しくて形がはっきり見えないが、あり得ない後続車が1台だけ走っている姿が見えた・・・。
瞬間!
僕はヒヤリとして踏むかどうかためらっていたアクセルペダルを隣のブレーキペダルに変えて一瞬踏み、ウィンカーを左へ出して流れるように左車線へ移った。
同時にバックミラーを見ると、「白バイ」であることがはっきり見えた。

「やばい!」「捕まった!」

そう思った。
なぜなら彼は、僕が気付くよりも前に追尾を始めたはずだ。

ところが、捕まらなかった。

僕が気付くのと白バイが追尾を始めたのが同時に近かったのかも知れない。

白バイはしばらく僕の右前方を走っていたが、急ブレーキとともに後方へ退き、誰も曲がらないであろう細い路地へ左折していったことをバックミラーで確認した・・・。

僕には再び先を急ぐ気持ちが頭をもたげてきた。高速道路の渋滞を取り戻さなくては。

(さっきの白バイは、Uターンをして自分の管轄を取り締まるだろう)

そして僕はアクセルペダルを慎重に踏み始め・・・数秒経った頃、半ば「癖」でバックミラーを見やると、やはり眩しくてよく見えないけど、ギラギラ光る白い小さな・・・バイク!そう、白バイだ。
僕はアクセルペダルを再び放した。
もちろん制限速度内だ。

彼は、一度逃した僕をどうしても捕まえたかったようだ。

だが僕はまもなく大きな道路から外れた。
白バイが尋常でない圧倒的スピードが出せない道へ。

明らかに今日の僕は普段よりスピードを出していたことを自覚していた。
だからこそ、白バイの存在を察知できたし、慎重だった。

そう、行動中に「自覚」できると、もう1人の自分がいることに気付く。

「ゴールを急ぐ自分」とは別に、「周囲に気を配る自分」が同時に存在していたように思う。

ただ単に、苦手な訪問先へと急ぐ僕は、白バイと「余計なかけひき」をしていただけかも知れない。
広くて前後に車がいない、事故の起こる可能性が低い大きな道路という条件下で・・・。

まぁ、捕まらなくてよかったんだけど(笑)。


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